ペイチェックをDVDで見た。今ごろ? という感はあるが、これが特筆すべき作品だったので、この作品について考えてみたい。
はっきりいって見ているのがつらかった。まず気になるのが、かの偉大なる奇人(貶しているわけではありません)のフィリップ・K・ディックの原作をアクション映画一直線のジョン・ウーになぜ監督させたのだろうかということだ。
これは、男と男のプライドをかけた、とか、激しい銃撃戦で手に汗握る、という話ではない。案の定、このアクション狂の監督はこの作品をまったくのアクション映画に仕上げてしまった。これがそれ向きの映画なら、そりゃ、その手腕はたいしたものだと思うけれど、なんてたって思考分裂気味のアイデアが売りのディックの作品なんだから、そんなアクションはまったくの不要、というか、邪魔でしかない。観客は思う存分、ディックの奇妙奇天烈でなおかつスリルに満ちた世界に没頭したいのだ。
たしかにアクションシーンは見事ではある。いつもながらの、目新しい――それこそあれやこれやと練られた、サーカスの芸を見るような奇妙なアクションはあったし、ふたりの男がお互いに銃を突きつけあうおなじみのシーンもあったし、サムペキンパーばりのスローモーションもあったし、こん棒を振り回すなんてハリウッドの映画では珍しいアクションもあった。が、そんなものを観客は望んでいないのだ。もちろん原作も。コメントを書く (0 コメント) |
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