2009年6月8日月曜日

暴力脱獄



監督:マイケル・マン

キャスト
ブルース・ウィリス
ラッセル・クロウ
ティム・ロビンス


キリストを描いた映画は数多くあるが、これほどユニークなものはまずないだろう。
今回は、この「暴力脱獄」(1967年公開、原題"Cool Hand Luke")のリメイクを考えてみたいと思う。

メル・ギブソンは「パッション」でできるかぎり、リアルにキリストを描こうとした。
しかし、実際に服役経験のあるドン・ピアーズ(「暴力脱獄」の原作者)はキリストとユダの物語を象徴的に牢獄を舞台に描こうと試みた。(この映画の主人公ルークの囚人番号37はルカ福音書1章37節からきている)

この映画の主人公ルークは偉大な人物ではなく、また大きな目標を持っているわけでもない。ただ体制や、社会のルールに恐れず、生きているだけだ。牢獄のような惨めなところに入れられていても彼は涼しい顔で過ごす。そこへ入れられた理由は、パーキングメーターを工具で切断したというものだ。なぜそんなことをしたのか、と聞かれると、「田舎じゃ、ほかにすることがなくてね」などと答える。



こんなルークをまわりの囚人たちはこころよく思わない。囚人は、この惨めな場所と同じく惨めに希望を失って生活するものだと信じきっているからだ。そこで牢名主のドラッグライン(ジョージ・ケネディ)が見せしめのために彼をボクシングで痛めつけようとする。ルークはやはりドラッグラインにこてんぱんにされるが、どれだけ打ちのめされても彼は立ち上がってくる。ついには、ドラッグラインは、ルークを倒すことをあきらめる。

このことをきっかけに、ルークの存在は、牢獄内の希望の象徴になっていく。
この他にも有名な一時間で卵を50個食べるという「奇跡」も起こす。このキャラクターの秀逸なところは、彼が起こす奇跡は、超人的なことではなく、誰もができるかもしれないが、ふつうはあきらめてしまうことをする、というところである。

この映画の原題は"Cool hand Luke"だが、この題名は、彼がポーカーをしたときに、自分のカードには何の役(hand)もなかったにも関わらず、最後まで降りずに、掛け金を取ったことに由来している。(ポーカーでは自分以外のプレーヤーがすべて降りた場合は、その人の勝ちになる)このクールなハンド(役)で勝ったルークを、囚人たちはクール・ハンドと呼ぶようになる。

脇をかためる俳優たちもとても魅力的だ。ジョージ・ケネディはこの役でアカデミー賞助演男優賞を受賞した。他にも若きデニス・ホッパーや、ハリー・ディーン・スタントン(弾き語りをみせてくれます)らが囚人役で登場する。

リメイクをつくるとしたら、ルーク役に、ブルース・ウィリスはどうだろうか。もう少し若いときの方がよかったと思うが、彼なら若いときよりも味わいのある演技を見せてくれることだろう。(ポール・ニューマンはこの役のとき42歳)

ルークを慕い、最後に彼を思う気持ちから彼を裏切ってしまうドラッグラインには、ラッセル・クロウ。彼はメインキャスト以外のオファーは断ってしまいそうだが、難しいこの役は彼に演じてもらいたいと思う。まずこの役は、体格がよくなくては務まらない。牢名主で、強面である。ルークを裏切る際の複雑な心情を描くことはかなり難しい演技だと思うが、彼ならきっと可能だろう。

無表情な看守役には同じ脱獄ものの映画で主役を演じたティム・ロビンス。

40年前の作品であるが、いまだにカルト的な人気を保つこの不思議な映画をぜひリメイクして欲しいと思う。

最後に、この映画のセリフでアメリカ映画協会(American Film Institute)が選ぶアメリカ映画の名ゼリフ第11位に選ばれているものを紹介しよう。

"What we've got here is failure to communicate."
「ここにいるのはコミュニケーションの落伍者だ」

象徴的でいい言葉だと思う。










DVD 暴力脱獄【ワイド版】
ポール・ニューマン代表作のひとつです。
暴力脱獄 [Soundtrack]
ラロ・シフリンのスコアが印象的です。

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