監督: ロバート・ゼメキス
キャスト
ビル・マーレイ
ポール・ニューマン
アネット・ベニング
ピーター・セラーズの代表作といえば、「ピンク・パンサー
この映画は、読み書きができず、数十年間家の外に出たこともない純粋無垢な庭師が、大統領候補になるまでを描いたコメディである。
このような無茶なストーリーをピーター・セラーズの名人芸、まわりを固めた名優たちによって説得力と社会風刺を含んで描いている。
共演は、メルヴィン・ダグラス、シャーリー・マクレーン、ジャック・ウォーデン。
特にシャーリー・マクレーンはマスターベーションのシーンもおもしろく(?)、名演を見せてくれる。このシーンは17回も撮影されたそうだ。まわりのスタッフも、もちろんシャーリー・マクレーンも大変だっただろう。
ピーター・セラーズもアカデミー賞候補になった演技はすばらしく、「博士の異常な愛情
「フランス人」「イタリア人」「インド人」「中国人」と作品に応じて、発音や声を変えてディフォルメした人物たちを演じていた彼であるが、この「何も個性がない」(このことが個性ともいえるが)人物をも見事に演じてしまうのはさすがだ。
もしこの映画をリメイクするとしたら、主演には二代目クルーゾー警部(「ピンク・パンサー」)を演じたスティーブ・マーティンも考えられるが、もっとふさわしい人物がいる。
彼は「何もしない」ことで観客の笑いを誘う芸をひたすら極め続ける俳優である。お化け退治
「知らなすぎた男
ソフィア・コッポラ監督作「ロスト・イン・トランスレーション
数十年間、外界から遮断された環境で生活してきたチャンシー・ガーディナー(Chauncey Gardiner)役は本当に難しい役だと思う。彼は、社会の中で交わされている言葉の多くが、隠喩を含んでいるとも知らず、庭師としてじっくりと考え、素直にそれにこたえていく。聞くほうもチャンシーの言葉が意味の深い隠喩を含んでいる言葉であると勘違いしてしまう。
観客にたいして、そのリアリティを保つために、彼は何も深くは考えていないことを示しながら、同時に他の登場人物たちに向けて、「この男は、なにか奥深いことを考えている」と思わせる演技をしなければならない。
まさしく、ビル・マーレイにうってつけの役だと思うのだが、どうだろうか。
この1979年の「チャンス
特に不満に思うのは、エンドクレジットと一緒に流されるこの映画のNGシーンである。一時期香港映画などでよく見られたが、いまではほとんど見ることができない。
観客は映画が終わったあとも、しばらくその余韻に浸って、いま見た映画について考えたいと思うのだが、NGシーンなどを見せられるとあっというまに現実に戻されてしまう。
特に俳優自身にとっては自分の仕事の失敗を観客に晒すことになるので、演技に対してプライドを持っているような俳優は不満に思うのではないだろうか。
ピーター・セラーズも、NGシーンには反対していたようである。カンヌ出品時にも、それを外してくれるようにプロデューサーに頼んだが、聞き入れられなかったという。
この役でアカデミー賞主演男優賞にもノミネートされていたが、このNGシーンが原因でそれを受賞することができなかったと考える人も多いそうだ。
もうひとつこの映画で不満に思うのは、なぜラストのシーンで、彼を人間とは違う存在で描いたのかということだ。もともとの脚本では、別のラストシーンが予定されていたそうである。撮影中のある日、監督であるハル・アシュビーが他の監督とこの映画の撮影について話す機会があった。そこで、彼はこの映画の撮影があまりにも、順調なので「まるで空を歩いているようだ」と語ったそうだ。その瞬間、彼はこのアイデアを思いつき、映画に取り入れたそうである。(インスピレーションを大切にしすぎ?)
この映画は、無知の人間が政治の主要な位置に行くことで、巻き起こる騒動を描いている。そして、その主題は政治の世界に対する批判、また日々進歩する文明生活にたいする疑問などだと思うのだが、チャンシーが人間とは違う存在ならば、すこし意味が違ってくる。
このエンディングのため、この映画は少し不思議な印象を全体に与えている。
この映画の原作である「庭師 ただそこにいるだけの人
映画も新キャストでリメイクしてはどうだろうか。
by ブック・オーシャン
参考:Internet Movie Database
allcinema online
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DVD チャンス ピーター・セラーズの遺作。 27年ぶりに新訳で復刊。映画「チャンス」の原作。 |
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